【麻酔論文】No Differences in Renal Function between Balanced 6% Hydroxyethyl Starch (130/0.4) and 5% Albumin for Volume Replacement Therapy in Patients Undergoing Cystectomy(ANESTHESIOLOGY 2018; 128:67-78)

膀胱全摘術を受ける患者に対する容量負荷療法においてHES(130/0.4)と5%アルブミンでは腎機能に差は生じない

 

【要約】

背景:人工膠質液の使用は集中治療において減少している一方、周術期に関しては依然として使用されている。非致死的患者の日常的手術における腎毒性リスクについては殆ど知られていない。本試験の目的は5%アルブミンとHES(130/0.4)が腎機能および腎障害に影響を与えるかどうかを調べることである。

 

方法:100名の待機的膀胱全摘術を受ける患者が本前向きランダム化比較試験に組み入れられ、唯一の周術期の膠質液として5%アルブミンまたはHES(130/0.4)を投与される群に分けられた。プライマリエンドポイントは術前と術後第90病日での血清シスタチンCの比である。セカンダリエンドポイントは術後第3病日でのeGFR・血清NGAL値と第3病日および90病日での腎障害基準(risk・injury・failure・loss・end-stage)である。

 

結果:アルブミン群のシスタチンC比の中央値は1.11 (1.01-1.23)、HES(130/0.4)の中央値は1.08 (1.00 - 1.20)で、差は0.03 (95% CI, -0.09 〜 0.08: P = 0.165)であった。血清シスタチンC値にも差はなかった。セカンダリエンドポイントにも差は認めなかった。投与量、輸血率、周術期血行動態も両群で変わりなかった。

 

結論:腎機能および腎障害に関して、非致死的患者の大手術において5%アルブミン製剤とHES (130/0.4)の安全性に本試験で差は認められなかった。

 

メモ:HES (130/0.4)は日本だとボルベン