【麻酔論文】 Does Dexmedetomidine Have a Perineural Mechanism of Action When Used as an Adjuvant to Ropivacaine? (Anesthesiology 2017; 126:66-73)

ロピバカインに添加して使用したデクスメデトミジンには局所的な作用メカニズムがあるのか?

 

 (要約)

【背景】

 局所麻酔薬に添加して使用されるデクスメデトミジンは末梢神経ブロックの効果期間を延長するかもしれない。この作用が局所的な作用であるのか全身的であるのかは明らかではない。著者らはデクスメデトミジンには局所的な作用メカニズムがあると仮説を立てた。

 

【方法】

 健康なボランティアに対するランダム化三重盲検化比較試験が行われた。全員が両側の伏在神経ブロックを行われ、片足にはデクスメデトミジン (100μg/ml) 1mlが添加された0.5%ロピバカイン 20mlを、対側の足には生理食塩水 1mlが添加された0.5% ロピバカイン 20mlを注射した。一次アウトカムはアルコールスワブによる温度覚で評価した神経ブロックの効果時間である。二次アウトカムはピンプリックテスト・持続熱刺激による疼痛・閾値温度・熱による疼痛の閾値温度、である。

 

【結果】

  21名全員のボランティアが試験を完遂できた。温度覚で評価したブロックの持続時間の中央値は、デクスメデトミジン添加ロピバカインを投与された足で22時間 (95% CI, 21〜24)で、偽薬添加ロピバカインを投与された足で20時間 (95% CI, 19〜21)であり、その差の中央値は2時間 (95% CI, 1〜3; P = 0.001)であった。ピンプリックテスト・持続熱刺激による疼痛・閾値温度で評価した際も神経ブロックの持続時間はデクスメデトミジン添加ロピバカインを投与された足で有意に延長したが、熱による疼痛の閾値温度では差がなかった。参加者の1名にデクスメデトミジンを注射された足に知覚麻痺の部位を認めた。

 

【結論】

 全身への効果を調整しても、デクスメデトミジンは伏在神経ブロックの効果時間を局所的なメカニズムによって延長させるが、これは臨床的に優位な程度ではない。

 

(メモ)

神経ブロックが切れたあとの疼痛をコントロールするための試験。デクスメデトミジンを添加または全身に投与することで局所麻酔薬の効果時間を延長することができる可能性が示唆されている。1名の知覚麻痺が出たことがデクスメデトミジンの副作用なのか、ブロックの手技による問題であるのかは不明。