【麻酔論文】Crystalloid versus Colloid for Intraoperative Goal-directed Fluid TherapyUsing a Closed-loop System (Anesthesiology 2018; 128:55-66)

クローズドループシステムを使用した術中の目標指向型輸液療法における晶質液と膠質液の比較

 

【要約】

背景:術中に投与される輸液の種類・投与量は共に大手術後の患者予後に影響を与えうる。このランダム化比較試験ではクローズドループ補助下の目標指向型輸液療法を用いた際に晶質液と比較して膠質液が待機的腹部大手術を受ける患者の術後の合併症を減少させるという仮説について研究した。

方法:160名が試験に組み込まれた。全患者は3ml/kg/hの晶質液を維持投与された。クローズドループシステムが追加で100mlの輸液(ランダムに割り付けられた晶質液または膠質液)をSV、SVVを用いる事前に定められた目標指向型戦略に基づいてボーラス投与した。全患者が解析された。プライマリアウトカムは術後第2病日のPost-Operative Morbidity Survey scoreである。セカンダリアウトカムは術後の全合併症である。

結果:膠質液群に割り付けられた患者のPost-Operative Moridity Survey scoreは低く(中央値 2、四分値 1-3対中央値3、四分値 1-4; P < 0.001)、術後合併症の発症率も低かった。術中に投与された輸液量とバランスは膠質液群で有意に低かった。

結論:本研究条件において、膠質液メインの目標指向型輸液療法は晶質液と比較して術後の合併症率を低下させる。この優れた効果は膠質液を使用した際に術中の輸液バランスが低くなるためかもしれない。しかしながらこの研究デザインでは輸液量によるのか、種類によるのかは区別できない。

 

メモ:消化管の吻合不全と呼吸器の合併症関連はHESの併用で減らせるかもしれない。