【麻酔論文】Association of Preoperatively Diagnosed Patent Foramen Ovale With Perioperative Ischemic Stroke (JAMA. 2018;319(5):452-462)

術前診断された卵円孔開存症と周術期虚血性脳梗塞との関連について

 

【要約】

(重要性)周術期脳梗塞は重大な合併症である。卵円孔開存症は静脈血栓脳梗塞との解剖学的関連があるかもしれない。

(目的)術前診断された卵円孔開存症が周術期虚血性脳梗塞のリスクを増大させるかどうかを調べる

(研究デザイン)MGHと2つの民間病院の回顧的コホート研究で、2007年1月1日から2015年12月31日までのデータを使用した。対象患者は182393名の全身麻酔下に非心臓手術を行われた患者である。

(曝露)術前に診断された卵円孔開存症 (主要評価項目)術後第30病日以内に発症する周術期虚血性脳梗塞脳梗塞亜型をOxfordshire Community Stroke Project分類で、脳梗塞重症度をNIHSSで評価。

(結果)150198名の患者(年齢中央値 55歳、SD 16)が解析され、1540名(1.0%)に術前卵円孔開存症の診断を認めた。850名に虚血性脳梗塞が起こり、卵円孔開存症患者で49名(3.2%)、非卵円孔開存症患者で801名(0.5%)であった。リスク調整後では、卵円孔開存症患者で非卵円孔開存症患者と比較してオッズ比 2.66[95% CI, 1.96-3.63; P<.001]と虚血性脳梗塞の危険性が増加した。脳梗塞の予想リスクは卵円孔開存症患者1000人当たり5.9、非卵円孔開存症患者1000人あたり2.2で、調整絶対リスク差は0.4%[95%CI, 0.2%-0.6%]であった。卵円孔開存症患者ではより大きな血管支配領域の脳梗塞を起こすリスクがあり(相対リスク比 3.14[95%CI, 2.21-4.48])、NIHSSでの重症度がより重篤(中央値 4[四分位 2-10]対中央値 3[四分位 1-6] P=.02)であった。

(結論)3病院で非心臓手術を受けた成人患者において、術前に診断されている卵円孔開存症は手術30日以内の周術期虚血性脳梗塞のリスクを有意に増大させた。この知見を確かめるさらなる研究が必要であり、また介入によってリスクが減少するかどうかを調べる必要がある。

 

メモ:卵円孔開存症のある患者では注意が必要