【医学論文】 Balanced Crystalloids versus Saline in Critically Ill Adults (N Engl J Med 2018;378:829-39)

重症成人患者における平衡晶質液と生理食塩水の比較

 

 

【要約】

(背景) 平衡晶質液と生理食塩水はどちらも重症患者の経静脈的輸液療法に使用されるが、どちらがより良い臨床結果につながるかは分かっていない。

 

(方法) クラスターランダム化クロスオーバー実用試験を大学施設の5つのICUで行い、15802名の患者をランダム化して生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)または平衡晶質液(乳酸リンゲル液またはPlasma-Lyte A)を投与するICUに割り付けた。プライマリアウトカムは30日以内の主要腎障害イベント:死亡・新規の腎代替療法の施行・腎機能障害の残存(クレアチニン値が基準値の2倍以上)の複合、である。退院または30日のどちらか早いほうで追跡は打ち切られた。

 

(結果) 平衡晶質液群の7942名のうち1139名(14.3%)に、生理食塩水群7860名のうち1211名(15.4%)に主要腎障害イベントを認めた(周辺オッズ比 0.91; 95% CI 0.84~0.99; 条件付きオッズ比 0.90; 95% CI 0.82~0.99; P = 0.04)。30日の院内死亡率は平衡晶質液群で10.3%に対して生理食塩水群で11.1%(P = 0.06)であった。新規の腎代替療法の施行は2.5%対2.9%(P = 0.08)、腎機能障害の残存率は6.4%対6.6%(P = 0.60)であった。

 

(結論) 重症成人患者において、平衡晶質液の経静脈的輸液療法への使用は生理食塩水の使用と比較して、死亡・新規の腎代替療法の施行・腎機能障害の残存という複合敦夫カムの発生率を低下させた。

 

(メモ)生理食塩水は高Clのため腎機能に悪影響の可能性あり。