【麻酔論文】 Ultrasound-Guided Dynamic Needle Tip Positioning Technique Versus Palpation Technique for Radial Arterial Cannulation in Adult Surgical Patients: A Randomized Controlled Trial (Anesth Analg 2018; 126:120-6)

成人手術患者における橈骨動脈カテーテル留置に対して超音波ガイド下動的運針法と触知法の比較:ランダム化コントロール試験

 

 

【要約】

(背景)
 橈骨動脈カテーテル留置は触知法を用いてもっとも一般的に行われているが、超音波を使用する事でその成功率は高められる。この改善は統計的には有意だが、特に訓練者においてはそこまで高い成功率にはならない。血管内カテーテル留置に対するより修練された超音波テクニックである動的運針法は末梢静脈カテーテル留置に対して示されている。今回成人手術患者に対してこのテクニックによる橈骨動脈カテーテル留置の成功率を触知法と比較して評価した。

 

(方法)
 非緊急手術で術中モニタリングのために橈骨動脈カテーテルが必要な患者を対象とした。患者は触知法または動的運針法にランダム化された。動脈カテーテル留置は麻酔科のレジデントまたは施設メンバーによって行われた。一次エンドポイントは一回目の留置成功率である。二次エンドポイントは5分間での成功率と5分間の穿刺回数である。

 

(結果)
 260名の患者を対象とした。一回目の穿刺での成功率は動的運針法で83%(n=132名)、触知法で48%(n=128名; P < .001)であった。相対リスクは2.5; 95%CI 1.7~3.6であった。5分間での成功率は動的運針法で89%、触知法で65%(P < .001)で、相対リスクは2.4; 95% CI 1.2~1.6であった。穿刺回数は有意に触知法で多くなった(P < .001)。カテーテル留置までの時間の中央値と四分位は動的運針法で81.5(61~122)秒、触知法で76 (48~175)秒であった(P = .7)。

 

(結論)
 超音波ガイド下動的運針法の使用は触知法と比較して初回および5分間の成功率を上昇させる。